感染症

【細菌感染症】

とびび【伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)】

とびひには水ぶくれができるもの(水疱性膿痂疹)とかさぶたができるもの(痂皮性膿痂疹)の2種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
アトピー性皮膚炎の患者様は皮膚のバリア機能が低下しており、とびひにかかり易いので注意しましょう。

水ぶくれができるもの:水疱性膿痂疹

皮膚にできた水ぶくれが、だんだん膿をもつようになり、やがて破けると皮膚がめくれてただれてしまいます。
かゆみがあり、そこを掻いた手で体の他の部分を触ると、症状が体のあちこちに広がってしまいます。とびひの多くはこのタイプで、黄色ブドウ球菌が原因です。

かさぶたができるもの:痂皮性膿痂疹

皮膚の一部に膿をもった水ぶくれ(膿疱)ができ、それが厚いかさぶたになります。炎症が強く、リンパ節が腫れたり、発熱やのどの痛みを伴うこともあります。
主に化膿レンサ球菌が原因となりますが、黄色ブドウ球菌も同時に感染している事が多いです。

真菌感染症

水虫【足白癬(あしはくせん)】

水虫は白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の一番外側の層(角質層)に感染したものです。
白癬菌は高温多湿で増えるため、夏に発症し易くなります。
水虫には3つのタイプがあり、

・足の指の間が白くふやけたり、皮がむける型
・足の裏に小さな水ぶくれができる型
・足の裏が硬くなってかかとにひび割れを生じ、痒みのない型(かかと水虫、角質増殖型白癬)

があります。いずれのタイプも確実に診断するには顕微鏡検査が必要です。
足白癬を長く放置しておくと白癬菌が爪にも入り込んでいくので早めの治療をおすすめいたします。

爪白癬(つめはくせん)

爪に水虫菌(白癬菌)が感染したものです。
これにより爪の色が白や黄色に濁ったり、爪が厚くなって変形したり、もろく崩れたりします。
爪の上から治療薬(抗菌剤)をぬっても爪の奥まで浸透しないため、飲み薬がもっとも効果的です。

かかと水虫

足の裏が硬くなってかかとにひび割れを生じる水虫で、痒みがないことがほとんどです。
かかと水虫は、空気が乾燥してくる冬になると悪化します。*
かかと水虫かどうか確実に診断するには顕微鏡検査が必要です。

*症状は足の裏の皮膚が白っぽく、ガサガサと硬くなり、ひび割れてきます。特にかかとにこの症状が多くみられます。

いんきんたむし【頑癬(がんせん)】

たむし(頑癬)は白癬の一種で、股や臀部、下腹部に発生するかゆみを伴う皮膚病で、夏に多く発症するのが特長です。赤褐色の色素沈着が見られる患部の辺縁部は、やや堤防状に盛り上がりカサカサした皮膚になります。

ウイルス感染症

単純ヘルペス【単純疱疹】

単純ヘルペスとは、皮膚に生じる単純ヘルペスウイルス感染症の一種で、単純疱疹とも呼ばれます。
単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、直接的な接触の他にウイルスがついたタオルやグラスなどを介しても感染します。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2つのタイプがあり、1型は口唇ヘルペス、顔面など上半身に、2型は性器を中心とする下半身に主に発症します。
以前はほとんどの人が乳幼児期に周囲の人々との接触により1型に感染して抗体を持っていましたが、衛生状態の改善や核家族化などの影響で、今日では20〜30代でも半数ぐらいの人しか抗体を持っていません。
また、抗体ができても大人にみられる口唇ヘルペスのほとんどが再発型で年に1〜2回繰り返すので、ヘルペスウィルスを叩く飲み薬がもっとも効果的です。

帯状疱疹

帯状疱疹は日常よく見られる病気の一つであり年間50万人前後、生涯では2000万人(一生のうち5〜7人に1人)がなると言われています。
この病気が命にかかわることはほとんどありませんが、その特徴的な症状である「痛み」が問題となり、苦痛と不安のため、精神的にも辛い思いをされる方もいらっしゃいます。
※この病気の発症は体の左右どちらか一方(片側)にしか出てこないのが特徴です。

皮膚症状は1〜2週間目をピークに、4〜8週間くらいで治ります。
ただし、風邪と同じように、そのその時の健康状態(体力低下、免疫低下など)、そして病気になってからの養生(安静、栄養をとるなど)によっては、病気が長引く事があります。

水いぼ【伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)】

ウイルスが原因で起こる皮膚の感染症で子どもに多い病気です。
症状は1〜5mm程度の光沢のあるいぼが腋(わき)の下や肘の内側、お腹など皮膚がやわらかくこすれ易い所に出来てきます。
いぼの中央にくぼみがあり、その中にある白い芯のような部分にウイルスが多く含まれています。
ウイルスに感染しても、水いぼの症状が出るまでには14〜50日程度かかるため、いったん治療して良くなっても、すでに感染していたウイルスによって水いぼがまた出てくることがあります。
水いぼは放置していても自然に治りますが、それまでに長期間(6ヶ月〜5年)かかります。
その間に数が増えたり、他人にうつしたりするので、いぼの数が少ないうちにとっておいた方が良いでしょう。

水いぼの治療法

ピンセットでいぼをとる

専用のピンセットで水いぼを摘み取る方法です。
この治療では摘み取る際に痛みが伴う事が多いため、麻酔のテープ剤の使用により、痛みを和らげる事が出来ます。

その他の治療

液体窒素や硝酸銀ペーストを使用するなど、いろいろな治療法があります。

いぼ【疣贅(ゆうぜい)】

主に足の裏、手、指などに表面がザラザラとした硬い発疹、またはウオノメ(鶏眼)にそっくりな症状として見られます。
原因はウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染によるもので、プール、公園などの施設を使う子供に多く見られますが大人にもできます。また、兄弟、親子など直接の接触が多い間柄で感染します。

いぼの治療法

いぼ冷凍凝固法

マイナス196℃にも達する超低温の冷凍凝固法液体窒素を綿棒などに染み込ませ、ウイルスに冒されている患部を急激に冷やすことで皮ふ表面の異常組織を壊死させます。
液体窒素を含ませた綿花をいぼ部分に数回あてます。

いぼの大きさやできている部位により治療回数は異なり、顔やくびなどにできたいぼは1~数回で取れることが多いですが、足の裏や手のひらなど角質が厚い部分にできたいぼは治療回数が多くなる傾向があります。
超低温で凍らせますので多少なりとも痛みを伴いますが、いぼの治療法として保険適応も有り、最も安全で効果的な方法です。

水ぼうそう【水疱(すいとう)】

水ぼうそうは37度程度発熱と同時に全身倦怠感、食欲低下、頭痛、腹痛などがみられます。
発疹は最初体や頭、顔などから出はじめ、次第に全身に広がります。はじめは赤い小さな丘疹(きゅうしん)で周囲に紅斑を伴っていて、虫刺されによく似ています。これが1~2日たつと直径2~3mmくらいの水疱となり、体中にバラバラと広がり始め、かゆみを伴います。発疹はこのあと乾いたり破れたりしてかさぶたをつくり自然に治っていきます。 すべてのかさぶたがはがれおちるまで、約3週間程度かかります。

りんごほっぺた病【伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)】

りんご病は、主に「幼児・児童」に見られる「赤いほっぺ」と呼ばれる独特の症状を発症するウイルス感染症の一種で、医学的な正式名称では伝染性紅班(でんせんせいこうはん)と呼びます。
症状として必ず両方の頬が赤くなるのが特徴です。熱が出たり、咳がでたりと風邪と似たようなところもあり、鼻詰まりも起きるので少し声が変わってしまうこともあります。
りんご病の原因となるウィルスは「ヒトパルボウィルスB19」というもので、このウィルスを持つ人からの咳やくしゃみなどの飛沫感染、もしくは皮膚や手すりなどに付着したウィルスに触ってしまうことで人から人へ感染していきます。

はしか【麻疹(ましん)】

「麻疹ウイルス」の感染によって人から人にうつり、39℃以上の高熱が1週間以上続き、紅い発疹が出現、咳、鼻汁、めやにがみられるようになります。
時には合併症で本邦でも死亡することがある重要な急性感染性です。
感染性が著しく高く、また、感染するとほとんどの例が発病すると言われています。
一旦熱が下がったころに、口腔内(頬の内側)に細かな白色の発疹がみられコプリック斑と呼ばれます。このあと熱が上昇しはじめるのとほぼ同時に発疹がでてきます。2度目の発熱はさらに高く40℃を超えることもあります。発疹ははじめ首や耳の後ろに小さな紅斑としてでてきます。そして次第に顔から体、手足へと広がるとともに、個々の発疹はやや盛り上がった感じでやがて大きくなり、徐々に癒合(ゆごう)していき、色は濃くなっていきます。発疹が全身に広がった頃には熱は下がることが多いです。

関連項目

皮膚炎・湿疹じんましん・痒疹・発疹角化症ニキビ薄毛・抜け毛やけどしみ(色素斑)・ほくろ・皮膚腫瘍口周りの皮膚疾患感染症